a cute lover |
自分で言うのも何だけど、俺の恋人はものすごく可愛い。 ちょっと近付いて触れるだけで頬を染めてはにかむように笑う姿は言うまでもなく、 すぐ不安になって泣きそうな顔をするのも、あまり見たいものではないけれど可愛くて仕方ない。 そして、何よりも笑顔はまるで花が咲くように鮮やかで愛しくて堪らない。 1年半も友達をやってきて気が付かなかった自分が、今となっては馬鹿としか言いようがないと、しみじみ思う。 「じゃあ行ってくるね。今日はすぐ終わると思うから、ごめんね」 「おう、待ってるよ」 放課後、今日は和宏が所属する図書委員会の月一の集まりがあるらしく、申し訳なさそうに教室を出て行く。 それを笑顔で見送って、やっぱり可愛いなぁなんて一人で幸せに浸る。 「でもホント、可愛くなってきたわよねぇ」 そんな秋良の心中を読んだのか、隣でしみじみと呟くのが、中学からの腐れ縁でもあり、秋良と和宏の付き合いを知っている渚である。 ちょくちょく俺たちにちょっかいを出してくる油断のならない女だが・・・いい友人であることは認めざるをえない。 陸上部は今日は練習がないので、秋良と何故か渚もおとなしく和宏を待っている状態。 他には誰もいないこともあって、自然と話は和宏の話になる。 「和宏はいつでも可愛いぞ」 「そりゃああんたから見ればそうでしょうよ。まあ私の場合はね、今までそんな仲良かったわけじゃないから気付かなかっただけかもしれないけど。・・・でも、やっぱり変わったと思うのよね」 「変わった?」 「そう。何て言うのかな、可愛くなったというより綺麗になったっていう感じ?どちらにしろ男子高生に使う言葉じゃないけど」 そう渚は苦笑するが、言いたいことは何となく分かる気がする。 確かに和宏は昔から可愛かったが、最近は特にそう感じることが増えているのだ。 少し明るくなったからかも知れない。 今までが暗かったわけでは決してないけれど、あまり目立つタイプではなかった。 それが最近では、やたらと他の奴らと話しているのを見る。 それは和宏にとっては良いことなのかもしれないけれど、その内の何人かは和宏に色目を使ってる気がしてしまうのは恋人の余裕のなさだろうか。 「まあ、うちは共学ですし?そんなに気にすることはないと思うけどね」 渚はそう言うが、秋良としてはそうはいかない。 気になりだしたら妙に心配になり、早く帰ってこないかと、ついさっき出たばかりの和宏を思ってため息をついた。 「では、今日はこれまで。お疲れ様でした」 会長の言葉に、それぞれが立ち上がり教室を出て行く。 「あれ、相田?帰らないのか?」 「あ、うん。柘植が待ってるから一度教室戻る」 「そっか、じゃあ俺先に帰るな」 「うん、ごめんね。バイバイ」 同じ図書委員の拓弥に別れを告げ、和宏は一人教室に向かう。 「相田くん、ちょっと良いかな?」 「はい?」 ふいに話しかけられて、声の方に振り向く。 そこには、先ほどまで一緒に委員会に出ていた先輩が、笑顔で立っていた。 「た、ただいまっ!」 「おかえりー。どうした?そんな慌てて」 「あの、さっき、えっと、あのねっ」 「告白でもされたー?」 何気なく訊いた渚の言葉に、和宏はさらに真っ赤になって小さく頷く。 それに今度は秋良と渚が顔を見合わせる。 「女の子から?それとも男?」 「お、男の人」 思わず訊いてしまった渚に律儀に答えてしまう。 「あ、でもね!ちゃんと断ったんだよ?ただ、ちょっとビックリして、もう何がなんだか分からなくてっ」 「えーと・・・じゃあ私は先に帰るわ。秋良、あとは任せた」 渚が出ていってから、まだ軽く錯乱状態の和宏を招き寄せる。 素直に近付いてきた和宏を腕に納めて、まず一息。 「告白以外、何もされなかった?」 「うん。断ったらすぐ分かってくれたし」 「そっか、なら良かった」 もし何かされていたらと考えるだけで、腹が立ってくる。 俺がすぐ側にいたら、そんな男近付けやしないのに。 「でも、すごい驚いた。それに・・・ちょっと怖かったな」 そう呟く和宏に、一度腕に力を込めてから、目を見てしっかりと告げる。 「大丈夫、和宏は俺が絶対守ってやるからな」 「柘植・・・」 「だから、何かあったらすぐ俺に言って。ああ、その前に俺が和宏から離れない。だから和宏は安心して。な?」 「・・・うん、ありがとう」 照れくさそうに、でもふわりと笑って、今度は和宏の方からキュっと抱きついてくる。 「柘植、大好き」 「俺も和宏が誰より好きだよ」 耳元で囁けば、えへへと照れくさそうに、でも嬉しそうにまた笑う。 やっぱり俺の恋人は最高に可愛い。 ・・・誰にも渡すもんか。 そんな気持ちを込めて、背に回した腕の力を強めた。 「あ、そうだ、和宏。相手は誰?」 「え?えと、委員会の先輩で・・・―――」 告げられた名前を、一瞬でインプットする。 可愛い和宏に手を出す野郎なんざ、万死に値する。 どうやって報復してやろうかと、和宏を抱き締めたまま真剣に考える秋良だった。 えーと、飴川しぎこ様からのリクは・・・ 『柘植くんがぎゅっってして、和宏くんが幸せそうにえへへ〜って笑ってる話。 平野のサイトでこれ以上ないってくらい!あーもー見てられないよってくらい!ラブラブな話』 ・・・ゴメンナサイ、何か違う方向に話が進みました。 ラストは書いてて恥ずかしかったので、こんな感じで勘弁していただければ・・・っ!(苦笑) 何はともあれ、10000ゲットありがとうございました〜♪ |